山本容子

美術評論家とか専門畑の人たちに褒められたり、あるいはどこかのコンクールで賞をもらって美術界に認められて初めて世に出られる、そういう考え方があります。でもそうすると選ぶ人が一番偉くて、アーティストはその次になってしまう。私は「それしかないの? そういう関係は私には向かない」と思いました。そこで考えてみた。私の絵を好きな人がどのくらいいるだろうか。ピカソだってべつにピカソが偉いから好きになるわけではなくて、たまたま見た彼の絵が好きになったからですよね。一般の人たちにとって、美術はわかるとかわからないではなくて、まずは好き嫌いの問題です。そういう人たちに私の絵をじかに見てもらって、好きになっていただけたらエールを送ってもらおうと思いました。そういうやり方の方が私らしいと思いました。